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2009/06/13

3匹目のドジョウ

 内容は、ほとんど「超・入門 科学する麻雀」と一緒。
 「超・入門 科学する麻雀」は雑誌と本の中間形態のMOOKとして発行されたため、今からは殆ど新品では入手できない。そういう意味で、「超・入門 科学する麻雀」を読みたかったけど購入できなかった人にはオススメできる。
 内容がMOOK版とほとんど一緒とはいっても、多少は違う箇所がある。もっとも顕著なのは、MJ4のデータを用いた実力ごとの打ち方の差を比較をしている6章だが、これも既に発行されている「MJ4攻略大全」から持ってきたものだ。もし、「超・入門 科学する麻雀」を持っているけど、今回追加されたMJ4のデータ比較部分に興味があるため、「おしえて!科学する麻雀」の購入を検討している方なら、「おしえて!科学する麻雀」ではなくて「MJ4攻略大全」を買ったほうが良いだろう。「MJ4攻略大全」には、「おしえて!」で追加された部分だけでなく、GAMEJAPANで連載されていた小林剛プロの何切る問題が載っており、これが、かなり有意義な内容となっているからだ。

 さて、麻雀本を買うときの最大の購入基準はなんといっても「この本を読めば私は強く成れるのか」ってことだと思う。科学する麻雀の一連のシリーズは押し引き判断とベタオリの手法に重点を置いて解説している。その部分について不安を持っている人ならば、上達は見込めるといってしまっていいと思う。私自身も東風荘のR1750程度だったものがR2050程度まで上がったので、すくなくとも、私自身は効果を確認済みだ。一連の科学する麻雀の本については、まったり麻雀のアルゴリズムも相当に参考にしているが、押し引き判断やベタオリは比較的うまく機能している。

 そういった意味で私は結構科学する麻雀シリーズにはお世話になっている。だけど、今回は敢えて疑問点を上げてみる。

データがうそ臭い
 今回追加されたMJ4のデータはところどころ怪しい値があって正直まじめに解析する気になれない。(例えば、配牌時向聴数と和了率の箇所など)。「MJ4攻略大全」を読んだときは、単なる誤植かとおもっていたけれど、今回「おしえて!科学する麻雀」でも直ってない。まじめに検討解析してないか、もしくはデータを捏造しているかのどちらかだろう。

本人達が本に書いてあるとおりの打ち方をしてない
 結局のところ、理論が正しいかどうかは実戦により示すのがもっとも説得力のある方法である。
しかし、残念なことに、本人達が本に書いてあるとおりの打ち方をしていない。このことは、私がそう感じるだけというわけでなく、多くの人がネット上で指摘していて、とつげき東北氏も福地氏も認めていることだ。
 とつげき東北氏は、「最近仕事がいそがしくて……」という感じで、単にミスをしてるだけとの発言だけど、福地氏の方は、完全イーシャンテン形からの先切りなど、意識的に異なるうち方をしているように感じられる。むしろ、「まったり麻雀」のほうがバカ正直に「科学する麻雀」の考えに沿ったうち方をしているとさえいえる。まったり麻雀の実力はごらんのとおりで、既存のコンピュータゲームよりは強いと思うし私程度ならいい勝負となるけれど、トップクラスの実力者からみたら全然マダマダというのが実際のところだろう。

いくらなんでも大雑把過ぎやしないか
 「状況による」でごまかして答えをあいまいにせずはっきりと答えを出すこと、統計的裏づけがあいまいな読みに頼らないこと、多くのケースで適用できる汎用的な技術を先に身につけること、という作者のコンセプトは、私程度の実力位までは十分有効だと思う。また、今までのウラスジや暗刻落としはさほど危険ではないということをデータとともに示したのはとても画期的なことだと思う。
 ただ、いくらなんでも、解析が大雑把過ぎないだろうか。天鳳の鳳凰卓に安定して在籍できる程度までの実力身に着けたいならば、もっと細かい条件わけが必要となってくるのではないのだろうか。残念なことに、私程度の実力では正しいことなのかどうかを判断できないが、少なくとも、鳳凰卓を観戦したり、関連ブログを読んだ限りにおいては、トップクラスのメンバーは皆かなり細かい条件わけを意識していて打牌をしているように思える。
 また、本の中で麻雀は点数が倍々に増えるゲームなのであまり細かい点は気にしなくても大丈夫との言い方をしているが、実際まったり麻雀にアルゴリズムを組み込み、判断基準を評価値として算出してみると僅差になることが多いのだ。また、本の中で、攻めるときは100%攻め、守るときは100%守った方が良いというような趣旨の記載があるが、そういった面も、まったり麻雀の打ち方を上級者に評価してもらった経験で判断するかぎり、疑問が残る部分である。

3冊も出しているが内容に殆ど進歩がない
 科学する麻雀の結論を導き出すための手法自体はおそらくは正しい。しかし、手付かずの分野も多い。そういった意味でもっともっと研究が必要だ。
 最初の「科学する麻雀」が発売されてかなりの年数を経ており、その間、「科学する麻雀」、「超・入門 科学する麻雀」の熱心な読者層においては、記述内容のコモディティ化が起きている気配すらある。
 いまや、科学する麻雀の読者にとって、最上級レベル到達への関門となっているのは、科学する麻雀で取り上げている、対リーチの押し引き判断、ベタオリ技術、そして、リーチするか否かの判断では無くて、鳴きを意識した牌効率や、点数状況判断、リーチ以外への放銃、リーチがかかる前の段階の押し引きの判断、などの技術になりつつある。そういった面への解析を作者に期待している読者も多かっただろう。本人は仕事が忙しくなかなか研究が進まないのだろうけれど、読者にはそんなことは関係ないのだから。

* * *

 繰り返すが、科学する麻雀の結論を導き出すための手法自体はおそらくは正しい。考え方としては実に理にかなっている。ただ、結論を導き出す計算の過程で多くの省略した要素があるのも事実で、結論が正しいかどうかは疑問が残る。細かい条件わけの不足や、着目している麻雀スキルの範囲が狭いため、自分で足りない部分をフォローしていかなければならない面が多いのだ。
 そうしていかないと、少なくとも麻雀ゲームを作る立場では、今後さらに強いプログラムを作るのは難しい。また、実際ゲームに組みこめるための思考速度を満たすためには、計算量の関係で、もっと違うアプローチが必要となってくることも多い。そういった面で、当の本人である作者達が、新たな取り組みにあまり積極的でなく、2匹目3匹目のドジョウをねらった安易な金儲けに走った出版を繰り返してるのは残念に思う。

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コメント

福地誠氏のブログから飛んできましたが、すばらしい内容です。

自分の知る限りの批判内容としては最も優れていると思います。

以前から「科学する麻雀」には批判する方も少なからずいましたが、そういった方たちの多くは、理数系が苦手な方で、きちんとあの本を読んでおらず、内容を理解しておらず、結局、最終的には

「麻雀は数字だけでは語れない、自分が経験して積み上げてきたものの方が優れているような気がする。」

といったような根拠の薄い批判に終始している方が多いように感じました。

ですが、ここで挙げている疑問点はかなり的を射ていて、自分も以前から多少思っていたことでもあります。

「本人達が本に書いてあるとおりの打ち方をしてない」
の部分では、確かに、時によって完全シャンテンから、両面先切りした方が良い時もあって、福地氏もそういったことをしている時があります。
それは例えば、そういった一向聴の時が、まだ4、5巡目程度の序盤であれば、受け入れを最大にした方があきらかに有利ですが、8,9巡目近くになると、自分がテンパイするよりも先に、他家から立直が入る公算も高く、その時点で受け入れ最大よりも、一枚安牌を通して、一向聴を維持できるのはかなり大きい。
(その後、数巡安牌しか引かず危険牌を引く前に自分がテンパイ出来ることは多い。)
余剰牌の無い形に受けていると、結局1巡あたりのテンパイ確率が他家よりも高くても、他家から立直が入った時点で切る牌が一枚も無いため、結局その時点で手を崩して、降りることになるので、受け最大が必ずしも有利とは言えない。(安牌残しが必ず有利だとも思いませんけど。)

そういった判断から福地氏も先切りしている場合があるのだと思います。

そして、
「いくらなんでも大雑把過ぎやしないか」
「3冊も出しているが内容に殆ど進歩がない」
の部分は特に自分も思っていたのですが、上級者にとって、今や重要なのは、「科学する麻雀」で「有利、不利が微妙で最終的な勝率に大きな影響を与えない。」と言っている部分こそで、かなりの微細な部分での判断で有利不利を決めたがっています。

>いまや、科学する麻雀の読者にとって、最上級レベル到達への関門となっているのは、科学する麻雀で取り上げている、対リーチの押し引き判断、ベタオリ技術、そして、リーチするか否かの判断では無くて、鳴きを意識した牌効率や、点数状況判断、リーチ以外への放銃、リーチがかかる前の段階の押し引きの判断などの技術になりつつある。

というのはまさにその通りだと思います。
自分の知る限り、今や自分や自分の知人の上級者で、テンパイ時の押し引き判断やベタオリ技術、立直するか否かの判断で悩んでいる打ち手はいません。
迷っている判断はまさにお書きの通りだと思います。
他にも、一向聴時の微妙な押し引きや、鳴きや、点数状況による対応や、受けを狭めても打点を追うべきか、あるいは打点が足りないが押すべきか、などのことの方が今や重要となってます。

自分も実は「まったり麻雀」は以前打ってみたのですが、確かに今まで存在していた麻雀AIの中では最上級だと思います。
ですが、あれはなんでもまっすぐ打ちすぎで、しばらく打つと勝つためのコツのようなものがわかってきてしまいます。
おそらく凸理論を厳守しすぎている弊害かと。

現実には勝つためには時に一向聴からでもある程度、ゴリ押ししなければならない局面もあるし、配牌が明らかに和了りに遠い場合などはいっそのこと効率の悪いかなり高打点の手に向かったほうがよいこともしばしばあります。

自分もその後の研究の進歩を待っていた一人ですが、やはりこれ以降に進歩はしないのですかね。
(自分は言っているだけで自力で研究するスキルもない、情けない人間なので本来批判する立場でないのは本当はわかってるんですが。w)

ところで、「データがうそ臭い」の中で「聴牌時向聴数と和了率の箇所」とありますが、「配牌時向聴数」では?

投稿: まこhg | 2009/10/02 21:22

丁寧なコメントありがとうございます。

誤字についてはそのとおりですので修正します。

>自分もその後の研究の進歩を待っていた一人ですが、やはりこれ以降に進歩はしないのですかね。

麻雀研究は意外と時間がかかるもので、色々忙しいとなかなか進まないのですが、科学する麻雀の手法が限界に達したわけではないと思いますので、進歩の余地はあるとおもいます。本人にやる気があればの話ですが。

まったり麻雀については、当然、まだまだ進歩の余地は十分残されています。コメントで、ご指摘していただいた点、色々思い当たる節あります。

私自身の能力不足と作業の遅さで、なかなか進みませんが、何年かかってでも改善してくつもりでいます。

投稿: kmo2 | 2009/10/02 22:04

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